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平成28年度決算討論を行いました

会派「新しい議会」を代表して
平成28年度の決算討論を行いました。

【平成28年度決算・会派代表者討論】

会派「新しい議会」を代表いたしまして、平成28年度一般会計決算、並びに各特別会計決算に対し、認定の立場で討論させていただきます。

平成28年度は、日銀によるマイナス金利の導入という異例の金融政策からはじまりましたが、円相場は上昇を続け、円高進行による輸出企業の採算悪化から景況感が落ち込み、消費が大きく減少する一年となりました。
また一方、アメリカの大統領選挙ではトランプ氏が勝利を収め
経済政策への期待感から株価が上昇、ドル円相場も一気に円安へと方向が変わり、予想のできない展開がつづいています。

そのような景気のローテーションの狭間にあって、平成28年度の国立市の歳入歳出額は、依然として高水準を保ち、
歳入では、市民税は個人、法人と合わせて約2億2,400万円の増、また固定資産税は1億3,700万円の増となるなど、景気回復の実感がないと言われながらも、少しずつ個人所得が伸びていることが分かります。

一方で、2007年以降7年ぶりに、普通交付税不交付団体となったため、歳入では地方交付税が9,300万円の減となりました。残念ながら、現行の制度では、不交付団体であるメリットはほとんどありません。
そもそも大きな企業が少なく、市民個人税に頼っている国立市が不交付団体になるというのは、たいへん違和感があり、本気で地方分権を進めるなら、しっかり自立できるよう権限とともに財源も移譲するべきであると、市長会などを通じて国に要望していただきたいと思っています。

また、税連動交付金である地方消費税交付金が約2億200万円の減。さらに、利子割交付金、配当割交付金、株式等譲渡所得割交付金が大幅に減となりました。
利子割交付金は税制改正により減少したものですが、配当割交付金や株式等譲渡所得割交付金は、前年の出来事や数字から予想可能な部分が大きいと感じられます。
補正も含めると、当初予算から約2億1,300万円あまりも減少しているというのは、市の財政にとってはあまりにも影響が大きいのではないかと思っています。
東京都の通知を鵜呑みにせず、とくに歳入に於て、予測可能なものは数字を厳しく見積っていただきたいとお願いをしておきます。

適正な事務執行が行われたかという観点から見ますと、審査意見書で指摘を受けたいくつかのミスが気になりました。
特に、マンションの固定資産税について、共用部分の按分計算に誤りがあったことが分かり、128,100円の還付がされている一件では、誤課税のあった住戸の当事者が、たまたま調べたことで発覚したという経緯を考えても、決してあってはならないことと遺憾に思います。

また、ホームページの更新システム使用料が、誤って5年分も計上されていた件では、本来200万円ほどの事業に対して1000万円以上の金額が乗っていた違和感に、気付くことはできなかったのでしょうか。
相変わらず減らない時間外勤務の過剰さを考えると、厳しい労働環境の中で起こってしまった一時のミスかもしれませんが、市民の税金をお預かりする責任をもう一度心に刻み、再発防止も含めて、不適切な予算執行が起こらないよう、徹底していただきたいと思います。

認定討論と言いながら、ここまで厳しいことばかり申し上げましたが、市税の収納率は前年度の99.3%から、さらに、0.1ポイント伸ばして、99.4%となりました。
多摩26市ではもちろんトップの収納率で、これにより経営努力割の増などに繋がっており、これはひとえに収納課のご努力と、国立市民の意識の高さの所以であり、充分に評価されるべきものと感じています。

歳出を見ますと、一貫して民生費が伸びていることが分かります。これは全国的な傾向ではありますが、少子高齢化に伴い
福祉施策に要する経費は年々増えており、とくに医療扶助費の伸びは厚生省でも大きな課題として検討が重ねられています。
これは、特別会計にも関わることですが、
国立市に於ても、生活習慣病の予防や、ジェネリック医薬品の推奨、頻回受診の対策など、医療扶助費の適正化に向けた取り組みには、改めて力を注ぐべきと考えます。

また、平成28年4月から新たに認可保育所が開設されたことにより、児童福祉費であるところの保育所運営委託費が大幅に増えましたが、待機児童の解消は喫緊の課題であることから、今後も躊躇なく取り組んで欲しいと思っています。
これは将来への投資であり、待機児童の解消によって働く人が増え、家計が潤えば、いずれは市に還元されるものです。
何より働きたいと意欲を持つ人が、障壁を感じずに働ける社会を作ることがたいせつだと感じています。

土木費では、旧国立駅舎再築用地買収事業や国立駅南口第1自転車駐車場整備事業など大型案件があり増加しましたが、くにたちの未来に明るい希望を持てる事業については、今後も積極的な投資が必要であろうと考えています。
しかしながら、稼働しはじめた国立駅南口第1自転車駐車場は
赤ちゃんを連れたお母さんがスロープを昇れない、電動アシスト自転車がラックに乗せられないなど、市民から改善の要望が出ており、これには早急な対応が必要です。

庁舎維持管理に係る事業では、庁舎駐車場拡幅工事に約607万円が掛かりましたが、財産収入として月額100万円あまりを得られることが分かりました。
残念ながらドラマのロケなどで使うことは難しくなってしまいましたが、一定の収入が見込める財産の貸付は、自動販売機などと共に促進すべきと感じています。

「元気高齢者の居場所つくりに係る事業」や「子どもの居場所づくり事業補助金に係る事業」は、市民のチカラで市民を支えるという、これからの地方自治のひとつの柱となっていく、たいせつな事業です。
しかしながら決算の数字を見る限り、現段階では充分な予算がついておらず、市民のボランティア精神に頼ることが前提の事業となっています。
ボランティア精神に頼ったままの事業では、いずれ継続が難しくなるかもしれません。

「観光促進に係る事業」ですが、リニューアルされた観光用のポータルサイト「くにたちNAVI」は、読み物風の記事が好評で、国立市の魅力が溢れるサイトになっています。
また、同様に観光まちづくり協会に委託している「フィルムコミッション事業」では、ほぼ毎週、市内のどこかでロケが行われていると聞いています。
シティプロモーションの効果を考えると、ほぼ一人分の人件費で、2つの大きな事業を運営できるコストパフォーマンスは特筆すべきものと考えます。

先の2つの事業も同様ですが、市民のチカラでできる事業は市民に任せ、行政がしっかりと支援をするのが、本来の自治の在り方ではないでしょうか。
潤沢とは言えない財政状況のなかで、如何に市民のチカラを活用するか。
「自治」という言葉の意味に立ち返り、国立らしい市政運営を検討していただくことをお願いして、
平成28年度、一般会計歳入歳出決算及び、各特別会計歳入歳出決算につきましては、いずれも認定とさせていただきます。

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